映画「クンドゥン」受け継がれた血も生粋のカトリック信者で、司祭を志した事もあるスコセッシ監督が描いたダライ・ラマ法王の半生。
圧倒的な映像美。自然は畏怖が込められ、家屋のシーンはチベットの旗・タルチョの五色が尊重された上で、イタリア系アメリカ人ならではの写実的で光と影の動く絵画映像が繰り広げられる。あの赤は、暴力と罪ばかりの人生でありながら聖母マリアを慕い続けたカラバッジョだと感じた。
出演者は、亡命チベット人という。普段は明るく人懐こい笑顔を浮かべるチベットの人々の、心の底からの慟哭を、よくもここまで映像のもとに引き出したと思う。
また、インド人の底辺に流れる、どの宗教に対する畏敬の念というものも垣間見られる。
音楽もよかった。経文と西洋音楽の合体は、これまで幾度も試みられてきたが、この映画のそれは洗練され、精神に響くものだった。

何故私はこれを観ていなかったのだろう。まずは自分の状況把握力の狭さを恥じる。

しかし、彼の国の圧力が入ったため、アカデミー賞常連監督のハリウッド映画でありながら資金繰り、配給には苦労したらしく、封切り当時は日本でも都内一部の劇場だけで上映だったという。
それでも、ネットのおかげでこうして鑑賞する事ができた。因みに、あんなに沢山作品があるNetflixにはこの「クンドゥン」のタイトル名はなく、有名な配信会社からのダウンロードも出来ず苦労した。
しかし、頑張れば観られる。
暴君の暴力が隠し通せる時代は終わったのだと信じたい。チベットの運命は、人々の関心という手に委ねられている。

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