マリレーナ・コレクション
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整理整頓、家を綺麗に保つことについて、彼女は、
「自分はちょっとクレイジ–。」
といいます。
ご主人ウルスが出張先から持ち帰ったお土産はこのように綺麗にコレクションされています。ふたりの歴史です。
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マリレーナ・ヒストリー
大戦中にイタリアで生まれ、15歳で家を出たマリレーナは、ローマで働いた後、親戚を便り、スイスへ向かいました。ここで本格的なフランスレストランで修行、コックに。彼女は、独学でフランス語、ドイツ語を学びました。彼女にとってフランス語習得はあまり苦労ではなかったのだとか。彼女のレシピノートは、フランス語、ドイツ語、イタリア語の3種類。83歳の今も、フランス語を忘れない為にフランス語のテレビニュースを必ず毎日見ます。わからない言葉はすぐに辞書をひくなど、高等教育が受けられなかった悔しさをバネに日々努力する人です。


「昼は豪華に、夜は質素に。」
20年前に初めて会った時、ご主人ウルスが、既に年金生活に入っていたマリレーナはこう言いました。お昼は、高タンパクの調理にイタリア炭水化物料理、そして数種の野菜料理を作る。夜は生ハムやチーズ。パン。調理するのはサラダだけ。
そして
「残された人生を穏やかに平和に過ごすようにしている」
とも言いました。

ウルスが80歳になった頃、お皿いっぱいに広がるステーキを彼がペロリと食べたのを見て私は仰天したのです。マリレーナが毎日コツコツと工夫しながら作り続けた料理のおかげで、ウルスは、野菜嫌いを克服し、大好きな肉料理を平らげ、大好きなワインと蒸留酒(コレは良くマリレーナに飲み過ぎと叱られていたけど)を呑み続ける80代を過ごしました。
私は二人を見ながら、良人のおさんどんを準備するのに不満を覚える自分を反省し、こうした思考をやめようと誓いました。コロナの自宅待機時、この禁を破ることになるのですが😅。

ウルスは、装いは質素だったけど、振る舞いがエレガントな、ヨーロッパ的な男性で、人を招くときはいつも、飲み物担当。アペリティーボの泡から、白赤葡萄酒、コーヒー、食後酒まで、全て彼がホスト。タイミングが絶妙で、
「あっ、そろそろ次が欲しいな。」
と思う前に、必ず私が呑みたいものがグラスに注がれていました。そんな彼も90歳で今年の始めに永眠。
年金生活に入った後も奥さんに大切にされ、本当に幸せな男性でした。ああ、今回の滞在中私たちは何度彼のために天に向かい献杯したでしょう? 
体裁ではなく、医者の忠告があった為、マリレーナは飲兵衛ウルスに小言を言っていたのだけど、今はどうか好きなだけ、呑みたいだけ。
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マリレーナは、独りスイスこの家に残り、近所の友人の助けを借りながら、生きていくと言います。現在彼女の子どもたちは海外で暮らすけど、その事について、また彼女が血の繋がった孫がいないことについて、私は彼女の不満を聞いたことがありません。主婦の王道と独立独歩を両立させる彼女の生き方に私は多くを教わっています。
別れには切なさが湧き出てきますが、それでも、笑顔でハグ、キスしなくちゃ。
バイバイ、マリレーナ。
必ずまた来ます。
Ti voglio tanto bene.



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