1990年代末、初駐在の時、右も左も分からない私は、デリーに駐在するさまざまな方と、会ったことのない人々が積み重ねた知恵に助けられ、それは、もう感激の連続で、いちいち目を潤ませていたのです。


ある日、先輩奥さまのお宅で、
「受けた恩をお返しできません…」
とメソメソする私に、本帰国を控えた彼女は、
「あ~ら、恩なんて受けた相手には返せないものよ。後から来る次の人に返していけば良いのよ~。」
と、カラカラ明るく仰り、この日以来、世話になった人の前で、イジイジするのはやめようと誓った事があります。

まさにvolunteerボランティア、自発的な、自ら進んでの、他者に対して見返りを求めない行為。それをする人には多からず少なからずその人の背景にその理由があり、そこに感情的に過剰に反応するのはナンセンスと、今なら分かります。

あれから15年くらい経って、一冊の本に出会い、あの先輩奥さまが仰った「恩を受けた相手ではなく後の人に返していく」という行為を表す言葉に辿り着きました。

それは、友井羊さんの
「ボランティアバスで行こう!」
というミステリー小説に出てきた
「恩送り」
という言葉です。

Wikiを見てみると、すでに江戸時代にはあった言葉で、井上ひさしさんも作品で、使用しているのだとか。知らなかったナア。

今でも、何かお世話をする機会が与えられた時は、淡々と、または言葉をえらびながら、私に手を差し伸べてくださった優しい方々の顔が思い浮かびます。

「ボランティアバスで行こう!」はミステリーですが、読後感が優しい小説です。
kindle



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